東京、2010年10月28日– IT市場調査会社のスプリングボードリサーチ(本社 シンガポール、代表Dane Anderson/デーン アンダーソン)は、日本企業のクラウドコンピューティング利用率は13%に達したと発表しました。同社が発行した「クラウドコンピューティング日本市場2010年-企業ユーザー動向」では、日本企業におけるクラウドコンピューティング利用状況、認知度、理解度のすべてがこの12カ月間で加速しました、と報告されています。また、日本企業のクラウドコンピューティングに対する理解度も進んでおり、回答企業の自己評価による理解度平均値は10段階評価で6.9となり、アジア地域(日本を除く)の平均値5.6を大きく超える結果となりました。
大企業でのクラウド利用が躍進
スプリングボードリサーチの調査によると、企業規模によってクラウドコンピューティング利用状況に格差が出る結果となりました。従業員数1万人以上の大企業では、36%がクラウドコンピューティングを現在利用しており、全体利用率13%の3倍に近い状況でした。
業種別では、通信、IT、金融のほか、政府・自治体の一部で積極的なクラウドコンピューティング利用が見られます。
クラウドコンピューティングに対する認知度が向上して実際の利用が拡がっており、特に大企業におけるクラウド関連プロジェクトへの投資、または検討する活動が活発化しています。一方で、セキュリティ懸念も根強いほか、データ機密、自社管理能力の喪失、システム連携といった懸念事項もあげられました。
コスト削減が第1の期待効果
日本企業がクラウドコンピューティングに期待する最大の効果は、コスト削減でした。約半数の企業(47%)が クラウド利用による「ハードウェアコストの削減」を期待しており、「システム関連の人件費・経費の削減」、および「業務ニーズに応じた拡張性」(ともに33%)が次にあげられました。
スプリングボードリサーチ日本市場担当のリサーチマネージャー 柏木成美は、「企業ユーザーにとって、クラウド関連プロジェクトへの投資判断の際、コスト削減が経営層から理解を得られやすい基準となっています。」と述べています。「しかし、本来はクラウドコンピューティングの利用によって保守・運用に偏ったIT 投資構造を転換させていき、業務効率向上や競争力強化をうながし、長期的に持続可能な企業価値を創造していく、といった戦略投資としての意義が今後はもっと議論されなければならないでしょう。」と指摘しています。
外資ベンダーのイメージが先行
クラウドコンピューティング市場におけるリーダー的な存在として支持されたのは、グーグルが首位、IBMとマイクロソフトが続きました。NEC、富士通、NTTデータが外資ベンダー3社を追う結果となりました。回答企業の18%が判断できないと回答した中で、それを上回ったのはグーグルのみでした。ベンダー勢力図は、しばらく混沌とした状況が続くことが予測されます。
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調査レポートについて
今回の発表内容の詳細は、スプリングボードリサーチ発行の「 Cloud Computing in Japan 2010 – End-User Adoption Trends(クラウドコンピューティング日本市場2010年-企業ユーザー動向)」に掲載されています。本レポートでは、日本企業のシステム部門または業務部門の責任者、管理者を対象にWeb上で実施したユーザー調査結果と、それらに基づいた見解をまとめています。調査結果には、3,578社の企業規模別/業種別クラウドコンピューティング利用状況が含まれています。また、259社から回答が得られたクラウドコンピューティングに対する理解度、関連性、期待効果、懸念事項、ベンダー認知度に関する調査結果もまとめています。
スプリングボードリサーチ社について
2004年に設立されたIT市場専門の調査機関です。シンガポール本社、オーストラリア、中国、インド、日本、マレーシア、パキスタン、アラブ首長国連邦(ドバイ)、米国に事業拠点があり、経験豊富なアナリストが調査活動に携わっています。ソフトウェア、サービス、ネットワーク、チャネル、新興国市場、産業別分析などで調査実績があり、グローバルIT企業ほか通信事業者、政府および金融機関などが主要顧客です。情報サービス産業の調査・アドバイサリー機関であるOutsell社より、世界IT市場調査業界の“Rising Star”としての評価を受けています。日本では、2008年10月にスプリングボードリサーチ株式会社が設立されました。『ナレッジプラットフォーム』ブランドでeラーニングコースの開発・運用サービスも提供しています。詳しくは当社Webサイトwww.springboardresearch.com をご覧下さい。
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